《BOOK》村上龍 / 空港にて

一時、村上龍は新作が出るたびに漁るように読んでたんですが《The mask club》以降はぱったり新作を読むを止めていました。
正しくは《
ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2
》以降は違和感があって読みづらく、敬遠がちになっていたのが、《The mask club》でまったく理解不能になった、という感じ。
《
空港にて
》は、ちょうど、私が集中力がなくなっていると自覚したときに読む本《
愛と幻想のファシズム〈上〉
・
〈下〉
》を何度目かで読み終えて、たまたま文庫版を書店で見かけ、手に取った。
旅に出る人たちの一人称で書かれた7本の短編は、さしてドラマティックでもなく、淡々と時間が流れる。
表現方法の善し悪しは別にして、私は個人的に長いセンテンスは苦手なんですが、村上龍が一人称(そういえば三人称のものって、ごく限られているような。《コインロッカーベイビーズ》は三人称だけど、そんなもんか?)で使うこの手法は、主人公の目線や心境がすごくリアル。
実際に生きていれば、人間はあのペース以上のスピードで目にしたものを解析し、心の中で思うことを移ろわせる。
効果的にこの手法を使うことで、読み手に自分の経験や思いと照らし合わせる隙を与えず、ストーリーに集中させることが出来る。
さすが。
やっぱり巧い。
2006年02月12日 BOOK トラックバック:0 コメント:0